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5月会報(2017)

                           5月会報ボタン1
      
      
     
5月会報    
                                                                      

                                                
◎「お知らせとご案内」  



①会員懇親会の最終ご案内

3月会報ワイン

先月号でもご案内いたしましたが、ご予定が定まらなかった方もいらっしゃったと思いますので、
5月15日(月)まで追加で受け付けることにいたしました。
新規入会会員の方のご参加を特にお待ちいたします。

日 時:5月20日(土) 

場 所:学習会終了後15時50分頃より葵陵会館内大学食堂
会 費:3,000円

◇当日は軽食と飲み物を用意しています。
◇東京経済大学の堺学長、井澤国分寺市長ほか、日ごろお世話になっている先生方も出席される予定です。
◇昨年日本人最年少でエベレスト登頂に成功した伊藤伴さん(東京経済大学4年生)のお話を伺います。

5月15日(月)までに、メールか電話で下記の連絡先までお申し込みください。
会費は当日頂きます。

【連絡先】山田 健 ken_yamada@almond.ocn.ne.jp
TEL 042-385-1563(留守の際は、恐縮ですが欅友会○○、と伝言ください)
◇なお、既に会費を支払った方で、5月15日(月)までにお申し出の場合のキャンセルは返金に応じます。

 [懇親会に出席される方は、学習会時に着用されている『名札』を必ずご準備下さい。]
  


②5月の学習会のお知らせ                                    

日 時:5月20日(土) 13:30~15:30            
場 所:東京経済大学 2号館 B301教室                                 
テーマ:「マイナス金利の行方と日本の課題~資本主義の終焉と歴史の危機~」              
講 師:水野 和夫 先生 (法政大学法学部教授)
5 月会報水野和夫先生1

(講師のプロフィール) 

1953年生まれ。1977年早稲田大学政治経済学部卒業。1980年早稲田大学大学院経済学研究科修士課程修了後、八千代証券(国際証券、三菱証券を経て、現三菱UFJモルガン・スタンレー証券)に入社。

三菱UFJ証券チーフエコノミストを経て、2010年退社。同年、内閣府大臣官房審議官(経済分析担当)。2011~12年、内閣官房内閣審議官(国家戦略室)。2012年経済学博士(埼玉大学)。2013年日本大学国際関係学部教授。2016年法政大学法学部教授。

証券エコノミストとして経済分析の一方、マクロ経済、国際金融を文明史論的な視野から説き起こした。著作に『株式会社の終焉』(2016年ディスカヴァー・トゥエンティワン)、『国貧論』(2016年 太田出版)、『過剰な資本の末路と、大転換の未来』(2016年 徳間書店)ほか多数。


◎4月8日学習会の要旨                            
5月会報榎先生1

        
日 時:4月8日(土) 13:30~15:30
場 所:東京経済大学 2号館 B301教室 
テーマ:「銀河の中心に潜む超巨大ブラックホール」 
講 師:榎 基宏 先生 (東京経済大学 経営学部准教授)
出席者:187名(会員:男性133名、女性48名        
        非会員:男性4名、女性2名)   


【講演要旨】


本日の講演内容
 
近年、多くの銀河の中心に「超巨大ブラックホール」があり、その存在が銀河の形成と密接に関係している、と考えられるようになってきました。本日は、この銀河の中心にある超巨大ブラックホールについて次の3点からお話しします。

Ⅰ:銀河とはどのような天体か?
Ⅱ:超巨大ブラックホールとはどのような天体か?
                             5月会報銀河1

Ⅰ:銀河とはどのような天体か?

(1) 銀河とは?


「銀河」は、およそ100万~1000億個の恒星が、お互いの重力で引き合ってまとまっている天体である。また、恒星だけでなく「星間ガス」も含んでいる。この星間ガスから恒星が生まれる。銀河のサイズや形態は多種多様だが、形態で「楕円銀河」、「円盤(渦巻)銀河」、「不規則銀河」に分類される。なお、私たちの居る太陽系は「天の川銀河」という円盤銀河の中に存在している。この天の川銀河は、直径が約10万光年の円盤銀河で、太陽系は中心から約2万5千光年離れた円盤の中にある。

銀河の画像を見ると、星々の間に浮かんでいる雲のように見える。しかし、実際は、その星々は天の川銀河の中の星であり、銀河は天の川銀河の外のはるか遠くに存在している星の大集団である。銀河は、宇宙の構造の基本的な単位であり、宇宙の中に散らばって分布している。

(2) 自然界の階層構造の中の銀河

5月会報天の川銀河1

自然界には様々な大きさの構造があり、それらが階層的に存在している。人を基準にしてより大きな構造を見ていくと、人は地球の中にあり、地球は太陽系の中にあり、太陽系は天の川銀河という銀河の中にあり、銀河は銀河団の中にあり、銀河団は超銀河団の中にある。逆に、より小さい構造を見ていくと、人は原子からできており、原子は、原子核と電子からできており、原子核は陽子・中性子からできており、陽子・中性子はクォークからできている、となっている。


Ⅱ:超巨大ブラックホールとはどのような天体か?
 

                             5月会報超巨大ブラックホール1

ブラックホールとは、重力が強いため、そこから光すら脱出できない時空の領域のことである。実在すると考えられているブラックホール天体は、その質量で次の3種類に分類される。
 1.恒星質量ブラックホール:太陽の質量の10倍程度
 2.中間質量ブラックホール:太陽の質量の100~1千倍程度 (存在はまだ未確定)。
 3.超巨大ブラックホール:太陽の質量の100万~10億倍程度

(1)ニュートンの万有引力の法則

5月会報ニュートン1

重力とは「あらゆる物体の間に作用する、お互いに引き合う力」であり、万有引力とも呼ばれる。この力が従う法則が、ニュートンの万有引力の法則である。この法則によると、質量m、Mの二つの物体の重心の距離がrである場合、その二つ物体の間に働く万有引力の大きさFは次の通りになる。
      
 F=GmM/r2
 Gは重力定数と呼ばれる重力の強さを表す定数。

(2)一般相対性理論と重力

                                 5月会報アインシュタイン1

重力が非常に強いところでは、ニュートンの法則ではなく、アインシュタインの一般相対性理論で考えなくてはならない。一般相対性理論によると、物質やエネルギーは、その周りの時空をゆがめる。その結果、まわりの物体はまっすぐ進めず、曲がって進む。このように曲がって進むのは重力が作用した結果である、と解釈される。ブラックホールは、重力が強いため、そこから光すら脱出できない領域のことであるが、これは、その領域の時空のゆがみが光すら脱出できないくらい大きい、ということである。

(3)ブラックホールはコンパクトな天体

ニュートンの万有引力の法則によると、重力がより強くなるのは、物体の質量がより大きい場合、または、物体の重心間の距離がより近い場合である。したがって、天体の質量のわりにコンパクトでサイズが小さいと、その天体の重力は強くなる。なぜなら、天体がコンパクトである方が、その天体の重心により近づけるからである。それ故、重力が強い天体であるブラックホールは、質量のわりに非常にコンパクトな天体である、ということである。

(4)恒星の進化

恒星質量ブラックホールは、恒星の進化の最終段階で形成される。恒星の進化は、銀河と超巨大ブラックホールの形成に大きく関係している。ここでは、恒星の進化を概観する。
恒星は銀河の中を漂う水素が主成分の星間ガスの密度が濃い部分で生まれる。密度の濃い部分が重力で収縮し、温度と密度が十分に上昇すると、中心部で水素の核融合が始まり、恒星として輝き始める。この、中心部で水素の核融合反応が進んでいる段階の星を「主系列星」という。

重力でガスが収縮すると、温度と密度が上がる。核反応でエネルギーが放出されると、更に温度が上がるため、圧力が大きくなり膨張しようとする。その結果、重力による収縮と圧力による膨張がつりあうと、安定な天体となる。これが主系列星である。核反応が進み、核エネルギーが使い尽くされると、圧力が保てなくなって不安定になる。その結果、星の外層がはがれたり、超新星爆発が起きたりして、星を作っていたガスが星間ガスにまき散らされる。最後に、白色矮星、中性子星、恒星質量ブラックホールといった、コンパクトな重力の強い天体が取り残される。主系列星の段階で質量が小さいと白色矮星になる。質量がある程度あると中性子星に、大きいとブラックホールになる。

(5)超巨大ブラックホールとは?

5月会報クエーサー1

銀河の中には、中心部に、非常に明るく輝く「活動銀河核」を持つものがある。「クェーサー」と呼ばれる特に明るい活動銀河核は、銀河の直径の3000万分の一というコンパクト領域が銀河全体の100倍の高度で光っている。この活動銀河核のエネルギーの源が、太陽の質量の100万~10億倍程度もある「超巨大ブラックホール」であると考えられている。

(6)ブラックホールがなぜ光る?

ブラックホールは重力が強いためそこから光すら脱出できないのに、なぜ明るく光るのか? それは、ブラックホールにガスが落下することで重力エネルギーが解放されて熱エネルギーに変換され、それが光エネルギーとして放射されるから、である。ブラックホールにガスが落ちていくと、そのガスはブラックホールの周りをぐるぐる回りながら、円盤状になる。この時、ガス同士が粘性による摩擦でこすれあい、熱せられ、光を放つようになる。同時に摩擦力のために、ガスは渦を巻きながら中心へ徐々に落下し、最終的にブラックホールに降り積もる(降積するという)。その結果、ブラックホールの質量が増える、つまり、ブラックホールが成長していく。

つまり、ブラックホールそのものではなく、その周囲にあるガスが光っているのである。したがって、ブラックホールでなくてもガスが落下すれば光りうる。しかし、他の天体に比べるとブラックホールはコンパクトで重力が強い天体であるため、解放される重力エネルギーも大きく、それ故、ガスもより高温になり、より明るく輝く。

(7)銀河と超巨大ブラックホールの関係との関係は?

近年、活動銀河核を持たない普通の銀河の中心にも超巨大ブラックホールがあることが分かってきた。これは、かつて活動銀河核だったが、落下するガスがなくなって光らなくなった残骸であると考えられている。さらに「楕円銀河の星の質量の総計」や「円盤銀河のバルジ(中心部の丸く膨張した部分)の星の質量の総計」と「超巨大ブラックホールの質量」の間に比例関係があることも分かってきた。これらの観測結果は、銀河の形成と超巨大ブラックホールの間には深い関係があることを意味する。


Ⅲ:銀河の形成と超巨大ブラックホールとの関係は?

(1) 重力不安定による銀河の形成

銀河は、宇宙全体が進化する中で、「重力不安定」によって形成されると考えられている。物質の密度が高い所があれば、そこは重力が強いので、物質が集まってくる。その結果、ますます密度が高くなり、より重力が強くなり、より物質が集まってくる、ということを繰り返して、密度が高くなっていく。この過程を重力不安定という。

宇宙初期に形成された密度の濃淡(ゆらぎ)が重力不安定により成長し、物質密度が高くなったところで、まず、小さな原始銀河が形成される。その後、銀河同士が重力で引き合い、衝突と合体を繰り返し、より大きな銀河が形成されていったと考えられている。また、銀河の中で星間ガスの密度が濃い所で恒星が生まれるのも、重力不安定による。

(2) 超巨大ブラックホールはどのように成長するのか?

銀河が合体すると、銀河の中心にある超巨大ブラックホールは周りの恒星やガスと相互作用しながら、合体後の銀河の中心に沈み込む。最終的に超巨大ブラックホール同士も合体する。銀河が合体する時、重力の影響で銀河の形がゆがみ、星間ガスが合体後の銀河の中心部に流れ込む。中心部に流れ込んだガスが超巨大ブラックホールに落下して活動銀河核となって明るく輝く。すなわち、超巨大ブラックホールは、合体とガスの降積を繰り返して成長する。

(3) 銀河形成・超巨大ブラックホールの研究の現状

大筋は分かっているつもりであるが、関係する個々の過程についての詳細は分かっていないことが多い。

例えば
① 星間ガスから恒星がどのくらい生まれるか?
② 超新星爆発が星間ガスに与える影響はどのくらいか?
③ 超巨大ブラックホールの種になるブラックホールはどうやって出来たか?
④ 超巨大ブラックホールに降積するガスの量はどれくらいか?

銀河と超巨大ブラックホールの形成には、多くの過程が非常に複雑に関係している。例えば、超巨大ブラックホールの成長と恒星の形成の関係を考える。超巨大ブラックホールは、星間ガスが降り積もることで成長するが、その星間ガスから恒星が生まれる。もし、恒星が多く誕生しすぎると、星間ガスの総量が減ってしまうため、超巨大ブラックホールに降り積もるガスの量が減少し、成長が遅れることになる。

このように、様々な過程が関係しているため、ブラックホールそのものだけでなく、宇宙全体の進化や、恒星の進化、星間ガスも含めて総合的に研究を進める必要がある。そこで、銀河形成・超巨大ブラックホール形成の研究では、それらの過程や、過程同士の相互作用についてのモデルを作って組み合わせ、どのように観測されうるのかを多面的に予測し、実際の様々な観測結果と比較して、モデルを改良していくことを繰り返す。

(4) 銀河・超巨大ブラックホール形成の研究の今後

より統計的に均質な観測データとの比較を進めながらモデルの改良を続けていくことで、銀河と超巨大ブラックホールの形成のなぞの解明を進めていく。

例)大規模な観測の進展


          5月会報ハワイ天文台

現在、国立天文台ハワイ観測所すばる望遠鏡の新しい装置で、大規模な銀河と活動銀河核のサーベイが進められている。これで得られる大規模な質の良いデータを用いると、モデルの予想とより多面的な比較ができるため、よりよい研究を進めることができる。

例)重力波による観測


一般相対性理論によると、超巨大ブラックホール同士の合体時や、超巨大ブラックホールの種となるブラックホールの形成時には、時空のゆがみが伝わる「重力波」が放射されると予想される。この重力波を観測することができれば、超巨大ブラックホールについての新たな知見が得られるに違いない。重力波の観測的研究はようやく始まったばかりで、超巨大ブラックホールからの重力波の観測結果が出てくるのはまだまだ先である。しかし、理論的な予測がすでになされ始めており、我々の研究グループでも予測を進めてきた。今後の発展が大いに期待される。

                        5月会報榎先生風景1
 
Q&A(要点のみ)

Q.1 ブラックホールの組成はなにか
A.1 ブラックホールになった時点で、元の物質の組成の全ての情報が失われているので、元が水素だ
ったか暗黒物質だったかは分からない。

Q.2 太陽系はブラックホールの周りを周回しているか
A.2 太陽系が、天の川銀河の中心にある超巨大ブラックホールを周回している、と言うのは正しい。
しかし、ブラックホールの重力で引っ張られて周回しているのではなく、天の川銀河にある星や暗
黒物質など、銀河を作る物質全体の重力の総和により引っ張られて周回している。

Q.3 ミルキーウェイとギャラクシーの違いは
A.3 この用語の使い方は、時代によって異なる。現代では、ミルキーウェイは、「天の川」のことを指
す固有名詞である。一方、ギャラクシー(銀河)は一般名詞である。いろいろなギャラクシーがあ
るが、ミルキーウェイはその一つ。

Q.4 ブラックホールに対応してホワイトホールはあるか
A.4 数学的にホワイトホールはあると言われているが、見つかっていない。

Q.5 宇宙の使用済みの人工衛星やロケットの回収ビジネスが言われているが、先生のご感想は   
A.5 地球の周りを回っている大量のゴミが回収できれば良いことであると思う。しかし、回っている
ゴミを地球に持ってくるにはエネルギーがそれなりの量が必要であり、ビジネスとなるのは中々難
しいと思われる。                           
                                                (文責 飯沼直躬)               



◎ 4月15日(土)学習会の要旨                        
5月会報大淵先生1

      
日 時:4月15日(土) 13:30~15:30
場 所:東京経済大学 2号館 B301教室 
テーマ:「健康寿命の延ばし方」  
講 師:大渕 修一 先生

東京都健康長寿医療センター 東京都老人総合研究所
在宅療養支援研究部長                              
出席者:218名(会員:男性148名、女性55名            
非会員:男性10名、女性5名)


【講演要旨】

身近な問題について、分かり易く、ユーモアにあふれ、実演も含めた大変有意義な講演でした。

1.はじめに

5月会報渋沢栄一1

○渋沢栄一は「論語と算盤」を銘に近代日本の金融・産業を創始したが、併せて社会福祉・社会保障の基盤づくりにも貢献した。東京都老人総合研究所は、渋沢栄一のつくった「養育院」が母体となっている。組織改正で「健康寿命医療センター」となったが、「健康長寿」の名前で皆様に愛されるようになりたい。

研究所の業績

 ・従来の老化モデルは年齢と共に右肩下がりに老化が進むとされてきた。同時に多数の対象者を呼んで観察・計測をした「横断研究」といわれるものだったが、昭和40年代の方と明治40年代の方を同一に観察・計測をしてこれをもって老化の説明になるのか? 健康状態による変化を反映しているのか、認知状態にしても教育環境が違う人たちを同一に観察するのはおかしいのではないかと考えた。
 
・そこで、一人の人を長年追いかけて老化を研究すれば真の老化とは何かを探れるのではないか、という観察を行った。これを「縦断研究」という。特定の地域に限らず多数の地域にわたって研究を重ねた。その結果、一様な右肩下がりではなく、最後の2年間くらいで急激に落ちる終末低下が観測された。

・さらに私の業績は、老化は不可逆との考え方に疑問を感じ、「介入研究」の分野の研究を始めたことである。高齢者でもトレーニング次第では老化を防げるということが明らかとなった。終末低下のターニングポイントに活動を促すことによって(介入)老化のカーブを上向きにさせることができる。

日本の高齢化社会

                               5月会報高齢化社会1

・日本の高齢化率(65歳以上の総人口に占める割合)は1950年代の5%から2050年には40%に達する。米英等先進国(概ね20%くらい)に対して高い。平均寿命を90歳、人口の増減がないと仮定して高齢化率を求めると28%になる。従って28%くらいが安定した高齢化社会といえる。

・高齢化率40%の社会をイメージしてほしい。新しい文化、新しい生活の仕方が生まれなければいけない。若者と同居できる地域社会での居場所づくりが大事だ。

・年齢三区分人口の推移をみると、1950年から2050年の間に働く人は半分、高齢者は倍になる。社会保障を負担する人が半分に減って使う人が倍に増えるということ。若い世代は一人当たり4倍となる。(2014年社会保障給付費は115兆円)

2.高齢化社会への対処法

○ バックキャスティング
 
・この予想される社会保障費のひっ迫を乗り切るには、バックキャスティングが有用である。
・将来の社会を予測し、現在何をすればよいのかを導き出す方法を考える。
          5月会報大淵風景3

<隣の人と今の社会保障費のままで2倍の人数が楽しく暮らせる方法を話し合ってください>

・欲をかかない、ある程度我慢する、物をシェアするなどがいいのではないか。
・シュロックの釣鐘モデル:要介護者と元気者の割合は 釣り合う。社会全体で要介護者を支えるというのでは
なく、元気者と釣り合っていればよい。サービスを提 供できる人を行政が積極的に支援することが解決策だ。

老年症候群

・今の世の中は「元気で長生き」が目標だ。これを「健康寿命」という。寿命を延ばすためにしなければいけないことと、健康寿命を延ばすためにしなければいけないことはイコールではない。この違いをしっかり認識してほしい。元気で長生きしたい人は介護の原因のエキスパートになって欲しい。

<隣の人と介護の原因と死亡の原因のどこが違うか話し合ってください>

・死亡の原因はガンをはじめ生活習慣病に係るものが多い。介護の原因は脳血管疾患もあるが、死亡の原因とは違う要因が
ある。多いのは転倒・骨折。直接死に至ることはないが、これにより外出が怖くなり、生活を狭めることになる。関節疾患もしかり。
また高齢による衰弱も原因。認知機能の低下も大きな原因である。こうした原因に皆さん敏感になるべきだと思う。

・これら原因を当研究所では「老年症候群」という新しい名前を付けた。加齢により現れる症状のうち、生命に影響を与えるもので はないが、生活に支障を与えるものをいう。

・特に関節疾患が要介護の原因になる女性は男性の3.3倍もいる。逆に脳血管疾患は男性の半分である。

老年症候群の予防
 
                                5月会報スポーツジム1

・元気で長生きするためには、老年症候群の予防が大切である。それには早目に発見して、早目に対処していくことが必要。
70歳以上の女性の33%は尿失禁(板橋の調査)。トレーニングも有効だが、尿パッドもあるので、生活の幅を狭めないというこ
とが最も大事である。
5月会報指わっかテスト2

・老年症候群を自分自身でチェックする方法がある。「指わっかテスト」といい、両手の親指と人差し指でわっかを作り、自分のふくらはぎを測ってみる。スカスカだったら要注意、筋肉が減っている(痩せ)。改善するためには、食べて動くこと、特に蛋白質の摂取が大切。種が同じ蛋白質、つまり肉の摂取が必要。

・「ルーの3原則」:①使わなければ退化する。②使い過ぎたら破壊する。③適度に使えば発達する。
高齢者は特に、自分の「適度」を把握することが大事である。これには個人差がある。これを知るためには「過負荷の原則」がある。自分の体にちょっとだけ刺激を感じるところを探してほしい。
                      5月会報スクワット1

・高齢者に適する「筋トレ」を紹介する。抗重力筋のうち大臀筋、大腿四頭筋、下腿三頭筋の3つが
大事。4分の1スクワット(ひざを曲げる角度が4分の1)が有効。スロートレーニングといって
これをゆっくり行い、8回目の刺激が一つの目安。ややこたえるくらいが自分にとっての「適度」。多過ぎれば時間を短くし、足りなければ時間を長くする、または片足スクワットをやるなど調節してみるとよい。

<大きな古時計の歌に合わせてやる方法の紹介と実演>


・運動による刺激は認知機能の予防、改善にも有効であることがわかっている。認知機能改善には、その他青み魚やポリフェノールを取ること、頭を使うことが良いとされる。これは観察型研究で良いことがわかっているが、実験で効果がわかっているのは運動のみである。
5月会報古時計1

(注)1回の動きで12秒、1番を歌うと6回スクワットすることになり、ちょうど良い速さ。
大殿筋(だいでんきん)、大腿四頭筋(だいたいしとうきん)、前脛骨筋(ぜんけいこつきん)


3.これからの高齢化社会

○不健康寿命       

・厚労省の定義によれば、不健康寿命は男性9年強、女性12年強となっているが、要介護度2から死亡までの期間は男性1.3年、
女性2.7年でそう長患いする人は少ない。よくピンピンコロリが良いと言われているが、家族にとってはショックが大きい。
半年、1年くらいの猶予がある方が良いのではないか。

厚労省定義:あなたは健康上の理由で日常生活に何か影響を及ぼしていますか、という問いに「はい」と答えた時から不健康寿命が始まる。要介護になってからではない。この差(10年と2年)8割は心の不健康寿命といえる。

・この8割に目を向ける必要があると考えた。板橋で65歳から84歳の方々を調査したところ、バスや電車で外出できなくなった人
(要支援状態)は6%弱しかいないのに、友人や親戚と週に1回も顔を合わせていない人が52%もいる。

○行く場所をつくろう

・「継続理論」:本人は何かやりたいことをもっていると、参加し続ける。
「離脱理論」:社会から役割の期待が減少すると、参加する機会が減る。
これからは離脱理論に着目し、行く場所をつくっていくことが社会の目標と考えている。

・高齢者の心の健康、活動の場所をつくっていこう。大きな場所でなくていい。一人1個ずつそういう場所をつくっていこう。地域の高齢者を大事にし、その力を利用していこう。できないことに目を向けるのではなく、そして少しでも体にいい選択をしよう。認知症になっても、高齢期になっても怖くない社会をつくっていきたい。

○ 活動のヒント
 
・できないことに目を向けるのではなく、できることを見つけてほめよう。

4.質疑応答

Q:自分自身の体質をどう把握したらよいのか。
A:遺伝子的にとらえる考え方もあるが、環境によって体質、寿命は変わる。自分の体質を悲観的に見ないで、元気で長生きするぞと考え方を変えることが大事。ヒトの限界寿命はこの100年変わっていないが、そこに至るプロセスは環境によって変わる。早期発見にいちばん有効なのは歩行速度を測ること、認知機能を測ることが必要。病気予防から老年症候群予防に心がけていただきたい。

Q:65歳以上を老年と定義するのはおかしいのではないか。
A:厚労省が言っているのではなく我々老年医学会が言っている。定義を変えたとしても、寿命グラフが横にずれるだけ。それより自分ができることを社会に提供することの方が有意義である。寿命は長いことずっと42歳だった。今日のように70、80になったのは最近。65歳以上の新しい高齢化社会をつくっていこうではないか。        
 (文責 山田 健)



◎2017年(平成29年)学習会スケジュール

5月会報スケデュール1


★スケジュールは事情により変更、中止する場合があります。予めご了承ください。

○学習場所 東京経済大学の教室                             
○各学習日とも土曜日 13:30~15:30 (受付開始は12:30より)   
○下記の学習会は映画上映のため終了時間が1時間遅くなります。

★ 7月29日  13:30~16:30 

(編集後記)

季節は初夏へ移り、新緑が瑞々しい時候となりました。「東経大の坂道を上るのが大変になってきて…」と嘆息まじりの声を耳にすることがありますが、どういたしまして、目的を持った皆さんの足取りは、大地を踏みしめて力強い限りです。4/15の大渕先生のご講演によりますと、ちょっとだけ刺激を感じる程度の運動が健康寿命を延ばすのに有効だそうです。皆様もちょっとだけ頑張って東経大の長い坂道を上り、学習会に出席してください。アンケートに、「今年は是非全講座に出席を考えております」と書いてくださった80歳代の方、応援しています。 (編集長大崎尚子)
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