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会員の声(2016)

◎会員の声


山と俳句紀行 キリマンジャロ登頂
                                     川越 尚子


 憧れであったキリマンジャロへ行った。
11月会報(ナイロビ空港)

 ローマに一泊し、翌日ナイロビの空港におりたったのは夜の帳もおりる頃であった。 
 翌朝、車はひたすら南へと突っ走る。両側には鋭い棘を持つテーブルツリーと呼ばれるアカシアの木があり、その傍らには一抱えもあるような蟻塚があちこちに見られ、番いのダチョウやラクダが悠々と歩き、アフリカの広さを目のあたりにした感があった。

赤道の真下影さす鰯雲

 ケニアからタンザニアへと国境を越える。幅広いまっすぐな道の両側にはジャカランダの街路樹が薄紫色の花をいっぱいつけて、青く澄んだ空にマッチして見事であった。日本で云えば桜に例えられようか、葉をつけず枝という枝に花が満開でよい季節に来たものだと思う。砂漠の彼方に覆っていた雲を払いのけてキリマンジャロ山が姿を現した時には、大歓声を上げた。数日後に登頂する予定の山の頂には万年雪を置いて穏やかに端正な山容を見せていた。

               11月会報ジャカランタ2

雲切れてキリマンジャロの爽やかに

 
いくつかのマサイ族の部落を過ぎ、今夜の宿に着く。カンナ、アジサイ、ナデシコなど日本でお馴染みの花々にかこまれたホテルは山懐に囲まれたリゾートホテルであった。
翌日、迎えの車で登山基地に到着、手続きを済ませるといよいよ本格的な登山開始だ。熱帯特有の森林に囲まれた道は快適だった。
 我々6名、現地のガイド3名、ポーター11名、総勢20名での出発だ。

 約2700mにある小屋に到着したのは、まだ日も高い時刻である。荷物を置いて更に高い所に行き小屋に戻る。これは高山病対策として高度順応の重要な作業なのだ。この行動は登りの小屋泊まりの四日間毎日行う。

 翌日は約3720mの山小屋まで登る。標高が上がるにしたがって樹林帯から灌木帯に移り、美しい草原に代わっていく。ほとんど雨らしい雨が降らないのにアフリカ独特のドライフラワーのような花が一面に咲いていて美しい。まじかに5000m級の山が見える。見通しの良い道では、すれ違うポーターたちが「オハヨウ」「コンニチワ」「サヨナラ」「ガンバッテ」と知っている限りの日本語で挨拶する。私たちも「ジャンボ」とスワヒリ語で返す。各国の人との挨拶でさえ「ハロー」より「ジャンボ」だ。この言葉の響きがなんとも言えないやさしさと暖か味があって私は好きだ。

                                11月会報キリマンジャロ1

秋晴やジャンボの声のあふれゐて

 
富士山と同程度の高度にある小屋はメインロッジをはじめ個々のバンガローが多くあり、ソーラーシステムによる電灯もあり、窓にはカーテンもついていて清潔感があった。尾根越しにキリマンジャロがくっきりと見え、いよいよ目的の山が身近に感じられる。空気が希薄になっていることが感じられるが、体調は全員快調である。夜の外気はさすがに冷たいが、満天の空に降るような星が異国にいることを認識させる。
 
 二日間泊まって高度順応を試みたロッジを後に最終の4700mのロッジまで登る。もう完全なサドル
(砂漠帯)で、灰白色の世界である。

 仮眠ののち0時30分ポーターに起こされ万全の装備をして軽食を取る。突然一人のメンバーが戻してしまった。高山病の現象である。一瞬不安がよぎるが、1時25分全員で出発する。ヘッドランプで足元を照らし黙々と歩く。体調によってばらばらになったがそれぞれにガイドが付きそう。私は一歩一歩深呼吸をしながらツアーリーダーと行動を共にする。昨日まで見上げていた岩峰を見下ろせるようになったところでその岩峰の頂から空が茜色に染まり始める。その美しさはなんと表現したら良いのだろうか。神々しいまでの輝きにうっとりして、束の間疲れを忘れた。汚れのない澄んだ大気の中の光は、日本では到底見ることのできないものであろう。
 
 山頂が見えていながらなかなか到着しない。午前7時20分、約6時間の厳しいアルバイトの末辿り着いた山頂のアイスフィールドは息を飲むほど素晴らしいものだった。

 厳しい登攀をした者のみが見ることのできる大自然の現象である。「登ってよかった」の感しきり。居合わせた各国の方々と喜びを分かち合い、後続の仲間を待たずに8時に下山を始める。岩場は慎重に、そして砂礫帯は私一人で一気に駆け下りる。まるで富士山の砂礫帯みたいと思いながら。
 
 小屋に戻るとポーターが笑顔で迎えてくれオレンジジュースを差し出してくれる。その美味しかったこと、すぐに飲み干してしまった。小春日和の小屋のテラスで穏やかな温かい日差しを浴び、汗やほこりまみれの上着を干して後続の仲間を待つ。全員揃ったところで軽い食事をして下山の途につく。時折振り返り、何事もなかったように青空の中、頂に雪を残してゆったりと腰を据えた堂々たる山に名残を惜しむ。
 
 一昨日泊まったロッジに着き、ポーターが沸かしてくれたお湯で体をふき、改めて皆で生暖かいビールで乾杯。ブラボー。
 往路に宿泊した小屋に泊まりながら草原、灌木帯、樹林帯を抜けて登山基地に到着、迎えのバスに乗ってリゾートホテルに到着し、ゆっくり湯船につかったり洗濯をしたりした。
 
 俳句を作る余裕もないほど緊張と不安の連続であったが、思い通りやり遂げた満足感で充実した登山であった。
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