欅の木3余白削除70 会員の声(2020年6月) - 欅友会
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「なりますの方言」
                            荒木 厚(あらき あつし)

2020年6月会報成増2

「なりますの方言」をご存知だろうか。練馬区の成増一帯に特有の言葉や表現形態というわけではない。ウィキペディアには出ていない。国語辞典にも言語学の専門書にも載ってはいない。しかし今日、誰でも耳にする。コロナ禍に閉じ込められた昨今は、この言葉をテレビなどで毎日のように聞いている。

例えば、営業マンが新商品を示して、「これが当社の○○になります」と紹介する。「これが当社の○○です」とか「・・・○○でございます」とは言わない。また、誰かを引き合いに出して何か説明するケース。例えば「母が心配しますので・・」と言えばいいところを、なぜか「母の方が心配しますので・・」と、「の方」が追加される。前の例でいえば、「こちらが当社の○○の方になります」とフル活用されることすらある。この“ちょっと余計”な言い方は、いったいどうしたものだろう?。

言語学の立場からは諸説あるようで、今の若者を中心に「です」とか「でございます」といった濁音を用いて言い切る表現が苦手なため、という解説を聞いたことがある。「の方」も、物事を特定する印象を避けるためという説明も聞いた。

流行り言葉と言えばそうかもしれない。ほかにも同じような問題表現は幾つもあったであろう。いまも気になる言葉や言い回しは多いが、その多くは、いつしか消えていった。しかし、今回取り上げた二つは根強いようだ。どちらも20年以上も前、20世紀末ごろから目立っていた。それより少し前までは、日本語の乱れに対し識者や当局筋による批判・締め付けは強かった。しかし、世紀末の頃になると、なぜかタガが緩んでしまった。あまり問題にされなくなっていた。
                        2020年6月会報タモリ1

それでも、心ある人は腹を立てていたと思う。タレントのタモリさんなどは、かつて視聴者参加番組で「なります言葉」をしゃべる一般出演者に対し、「ウンッ?それって、何が何に成ったの⁉︎」って怒っていたのを覚えている。

筆者も、今世紀に入ってしばらくは、職場の若い人たちの言い方を聞き咎めていた。でも、その頃が“最後の抵抗”だったようだ。ミレニアムをまたいで、この方言はあまり批判されることもなく、ずっと流行ったままだ。当初は、街中や職場内の身内用語だったのが、そのうちビジネスや仕事の現場でも使われるようになった。テレビの収録場面でも、最初は一般出演者の言葉だったのが放送局内に広がり、報道番組のレポーターも多用するようになった。

最近では、民放は言うに及ばずNHKですら、何かのレポート場面で、語尾が「なります」言葉を使うのを聞いたことがある。いずれ消えるだろうとの期待は完全に外れ、まるで市民権を得たようだ。なりますの方言は、標準語として定着しかねない勢いである。それでもいいのか。

もちろん言葉は変わっていく。東京の都市言葉も明治以降いや戦後だけでも、言葉遣いや言い回しは多くの変遷を重ねて今日があるのだろう。そうした変化・変遷に柔軟に対応しなければ、ストレスが溜まるだけと分かってはいる。
2020年6月会報女子中高生1

近ごろの若い世代には、細かく各層ごとに特有の言葉があるようだ。先端?を走るJCJK(女子中高生)言葉を含め、若者言葉の多くは筆者のようなオヤジ世代にとっては唖然とする言葉ばかりだが、中にはいつまでも消えずやがて定着するものもあるのだろうか。こんな世迷言を言い募る筆者のような存在は、JK語でウーロン茶(ダサい?)オヤジと断罪されるのだろう。
                        2020年6月会報おじさん2


*4月7日の緊急事態宣言発令を受け、会報5月号は休刊と致しました。
橋本 滋 (編集担当)

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