欅の木3余白削除70 2月会報(2020年) - 欅友会
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2月会報(2020年)

                                                                   
                                                                   
                                                                   
                                                                   
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2月会報(2020年)






「お知らせ」


①年頭予測問題受付終了

第17回の年頭予測問題は、去る1月31日をもって締め切らせていただきました。会員の皆さま多数のご応募ありがとうございました。応募者総数は116名(男性:96名/女性:20名)でした。結果は来年の会報1月号で発表いたします。

*第16回年頭予測問題の正解についての訂正とお詫び
第2問の習主席来日に関して、昨年6月開催のサミットで来日しているのではとのご指摘があり、正解を「はい」と訂正し、改めて13問正解となった小野澤初枝さんに図書券(2千円)を贈呈しました。お詫び致します。




②2月の学習会のお知らせ

日 時: 2月15日(土) 13:30~15:30
会 場: 東京経済大学2号館B301教室
テーマ: 日本におけるサンゴ礁保全の現状
講 師: 大久保 奈弥(おおくぼ なみ)先生 東京経済大学
全学共通教育センター准教授
2020年2月会報大久保先生1

(講師のプロフィール)
立教大学文学部ドイツ文学科卒業。東京水産大学(現・東京海洋大学)水産学研究科 資源育成学専攻 博士前期課程修了。東京工業大学生命理工学研究科 生体システム専攻 博士後期課程修了。東京工業大学博士(理学)。2010年慶応義塾大学自然科学教育研究センター特任助教。2012年東京経済大学専任講師。2015年東京経済大学准教授。主な研究分野は、サンゴを中心とした海洋生物。主な担当科目は、生命の科学。「海の生き物を守る会」運営委員。雑誌『生物科学』編集委員。日本動物学会藤井賞(2017)、Zoological Science Award(2017)受賞。




③学習会・会員懇親会の日時変更

・4月学習会 開始時間変更
4月学習会(4月11日、講師 柴田高先生)
当日、15:00より大倉学術芸術振興会の芸術公演が開催されるため、開始時間が早まります。
時間 12:45~14:45 (受付開始12:00~)

・5月会員懇親会開催日及び学習会開始時間変更
当初、5月23日に懇親会を予定していましたが、会場の関係で5月9日に開催することになりました。これに伴い5月9日の学習会(映画を読む会、講師 菊地史彦先生)は開始時間が早まります。会員懇親会の詳細は追ってお知らせ致します。
日程 5月9日(土)
時間 12:30~15:30 (受付開始11:45~)


④図書館利用

欅友会会員は東京経済大学の図書館を利用できる特典があります。申込期間は3月1日から5月30日までと1ヶ月延長頂きました。なお、継続して利用の方は3月1日から3月31日までに更新手続きをお願いします。

⑤「会報」の連絡先変更

「会報」に関する連絡先が、以下のとおり変更になります。よろしくお願います。
郵送先:  橋本 滋 (編集担当)
今月号から、大崎尚子編集長から引き継ぐこととなりました橋本です。会報の内容は、従来と同様ですが、より見やすいようにと書体を改めました。会報について、お気づきの点がございましたら、ご意見やご要望をお寄せください。





◎1月11日学習会の要旨
2020年2月会報井上先生3

日 時: 1月11日(土) 13:30~15:30
会 場: 東京経済大学 2号館B301教室
テーマ: 「オリンピック後の日本経済を考える
-米国・中国の経済システムとの比較を踏まえて」

講 師: 井上 裕行 先生 (東京経済大学経済学部教授)
出席者: 270名(会員:男性186名、女性73名
           非会員:男性7名、女性4名)


【講演要旨】

今日は、オリンピック後の日本経済の予測と言うよりも、そういうことを考える際に有益な情報として、いま現実に日本経済に起こっていることについて話をしたい。まず日本と米国および中国の経済について説明し、最後に「日本経済はどこへ向かうのか」という話をする。
2020年2月会報日の丸1

1 日本経済

1-1 現状判断
       
   2020年2月会報実質賃金計数1
        出所:毎月勤労統計調査

a 景気情勢……政府は、昨年の12月時点で「景気はいろいろあるが回復している」というスタンスを変えなかった。だが実態は各種統計が示すように悪化が目立つ。政府が月例経済報告の中で使っている資料を見ても、家計の実質消費支出は前年比10%以上の大幅減。賃金は、2016年から緩やかな減少傾向を示しており、「景気動向指数(CI)」も直近5か年の、一致指数、先行指数、遅行指数は共にピークアウトして下がり続けている。しかし、政府の景気循環の山谷の判断は、「景気動向指数」などのデータを蓄積して2~3年後に結論づける、というのがいまの仕組み。「月例経済報告」は、このような景気基準日付の判断よりも機動的に景気動向を分析する役割を持っており、生産、消費等から依然として「回復している」としているが、実際は、すでに景気後退局面下にあると言える。

   「景気動向指数」
   2020年2月会報景気動向

b 景気悪化の要因……オリンピック前に、景気悪化の要因が「オリンピック」というのは考えにくい。逆に、オリンピック後に景気が悪くなるのはほぼ確定している。因みに、1964年以降のオリンピック開催国でのGDP成長率の変化(開催7年前~5年後)を見ると、2008年に北京で開催された中国を除くほとんどの国で、開催1年後のGDP成長率が悪化している。今年の日本の場合、マクロ的に大きな問題が起こることはないと思うが、マイナスの影響が出ることは避けられない。また消費税増税の影響について、政府はこれまで、増税は景気のマイナスにはならないと言ってきている。しかし、それはあまりにも不自然な説明だ。悪くなっているのは事実であり、今回の消費税引上げも経済活動にマイナスの影響を与えている。

c アベノミクスとは何だったのか? ……最近、アベノミクスという言葉をあまり聞かなくなった。アベノミクスは2013年から実施してきているもので、常にインフレ目標2%と言い続けてきたが、その目標が達成されたことはなかった。しかも、実績についての十分な検証も行わず、原油価格の低下など、その時々のアドホックな言い訳の説明に終始し、なぜ目標が実現しなかったのか、という根本的な問題に触れることなく過ごしてきた。最近の消費者物価指数を見ても目標の2%に遠く及ばず、もはや「誰も語らなくなった2%インフレ」という状況にある。

1-2 自虐的日本経済悲観論

a 海外に比較してパフォーマンスが劣る日本経済……こうした状況のなかで出てくるのが、「日本はダメだ」と言った自虐的な悲観論である。アメリカは90年代以降ニューエコノミーで成長し、ヨーロッパも通貨統合、地域統合経済で盛上がりを見せ、中国は世界の工場と言われて高成長しているのに、日本については「失われた10年」とか「30年」とか表現し、長期的な経済停滞を嘆くという主張が多い。

b 日本経済が抱える問題と対処

①過剰な雇用保障と生産性を上回る賃金……代表的な日本経済批判の1つがこの問題。生産性が低いにも関わらず、雇用を保障しすぎて首切りできない。過大に賃金を払いすぎている。雇用の流動性を高め、成果主義を導入し、競争を促進して生産性を上昇させるべきだと主張する。

②企業の新陳代謝の欠如……消えてしかるべき中小企業が、税金も払わず、中小企業支援策を拠り所に生き残っている。支援を縮小してダメな企業の廃業を促進し、起業を支援して新陳代謝を促進するべきだと言う。

③少子高齢化による経済縮小……対応策としては、子育て支援による出生率を押し上げ、女性・高齢者の就労を促進し、よりたくさんの人たちに働いてもらうということになる。

④持続可能性を失う財政……債務は返済不能な規模に達しており、財政再建のためには消費税増税もやむなし、場合によっては高齢者の社会保障費削減もやむなし、と言うもの。
以上は、TV討論会などで良く聞かれる話で、言論界で繰り返しこのような話をする人が日本では有識者だとみなされる。国民も、一般メディアを通して熱心に勉強している人ほど、有識者が言うのだからそういうものだと思ってしまう。

1-3 日本型経済社会システムはそれほど悪いのか

a 日本型経済社会システム

自虐的日本悲観論者が批判の対象とする日本型の経済社会システムとは「終身雇用、年功賃金、企業内組合」の諸制度を指す。これはやる気の無い中高年たちを守るためのもので、一端、会社に入ってしまえば、何もしなくても温々と過ごせるので、日本の会社はそういう人たちが中心となった非効率な「共同体的企業経営」をなしており、なれ合いが生じて競争もしない。結局、効率が劣るから中国にも負ける、と言う。また、金融も銀行からの資金調達が中心で、癒着とは言わないまでも各種の談合的な環境となり、市場によるコントロールができない。やる気のある企業は株式や社債を起債し、直接資金を調達してビジネス展開するよう意識を変えるべきだ、と言われている。

b 現実の人生類型

しかし、典型的な日本型雇用システムが適用されているのは、大企業の・男性の・正社員に限られる。最近は女性が進出してきたことから状況が変わってきてはいるが、人生類型で大企業に勤めて典型的な日本型雇用システムが適用される男性正社員は、日本全体から見れば限定的。日本人の人生コースをかなり大まかに分類してみると、実際には全体が大企業型、地域型、残余型の3つに分かれるという見方がある。中小企業でも年功賃金システムを採用しているような場合には大企業型に含まれ、このような人たちが全体の約2割。特定の地域に定着し、あえて年功序列型のシステムを採る必要のない地域密着型に属する人たちが約4割。残余型は、非正規社員などを中心に、地域に居残らなければならない人たちで、それが残りの4割となる。問題は地域型企業が減り続けて残余型にシフトしていること。特に自営業が減少し、昔であれば自営業に吸収されていたような人たちが、非正規へシフトしていることである。

c 長期継続雇用は世界共通

日本では、誰でも一端会社に入ってしまえば安定してそこに居続けられ、長い間にやる気を無くしてしまう中高年が育ってしまうと言われる。それに対し、欧米では、やる気のある中高年はどんどん転職し、頑張って良い職を探す。そういう競争関係の中で経済が活性化されているのだと言われる。しかしながら、欧米でも実際に転職を繰り返しているのは20代~30代までで、40代以上の定着傾向は非常に強い。40代で職場内特有の技能を蓄積した人が、新たな職場で同じような能力を身につけるのは大変なことで、いまの職場で十分満足という人が多くなるのは当然だからである。20代、30代までは転職のチャンスが多くある。しかし、それは日本でも同じで、中小企業の正社員に入った人でも、若い人には転職のチャンスがある。特に、景気が良くなる時には条件の良い会社に移れるので転職するケースは良くあることである。

しかし、大きく違うのは、雇用がメンバーシップ型かジョブ型か、人で採用するのかポストで採用するのか、である。転職する場合に、どちらの雇用形態かで状況がかなり異なる。結論的に言えば、欧米のジョブ型雇用システムには悲惨な現実がある。
日本のメンバーシップ型雇用では、新卒一括採用、同期横並びで、最初は誰にでもできる仕事が割り当てられ、徐々に経験を積んでステップアップして行く。人事権も会社側にあって自由に異動させることができる。これに対し、欧米で一般的なジョブ型の場合は、完全にポストですべてが決まってしまう。ポストを特定して、その仕事ができる人を採用するから、その仕事の遂行能力が求められる。そのため採用条件は厳しく、その職種に対応できることが証明されなければならず、同じような候補者同士の競争も勝ち抜く必要がある。通常は、他の企業での経験が有効な証明になるが、新卒者はそれが難しい。

そのために、ヨーロッパではインターンシップ制度もあるが、これはこれでブラック企業的な問題を抱えている。ポストで採用されるために企業側からの人事異動命令による昇進はない。経営者として上位のポジションで仕事がしたい場合には、高い授業料を払って大学院に通い、MBAなどの学位を取るなどしなければならない。また、たとえば管理職者が転職して空席になる場合には補充が必要で、公募することになるが、応募がなければ、他の企業からでもスカウトしなければならなくなる。メンバーシップ型であれば、内部でやり繰りするが、ジョブ型はそれができない。

このように、ジョブ型は日本のメンバーシップ型とはかなり違う。安易に欧米の働き方が良いという人もいるが、疑問だ。実際に、フランスの銀行員が勤務を終えると直ぐに帰宅し、子供たちとサッカーを楽しむ、というような生活を見て、素晴らしいと言う日本人もいるが、彼らはいくら頑張っても昇進できない人たちだから、早く帰宅し家族と時間を過ごす、という選択をしている現実がある。ジョブ型には、このような問題があり、全面的に良いとは言えない。実際に、外資系の企業も、日本に来ると日本型システムを採用していることが多いということからも、メンバーシップ型雇用のメリットが理解されていることがわかる。

2020年2月会報星条旗1

2 アメリカ経済

2-1 極端な格差社会の完成

   「階層別米国民の平均所得推移」
2020年2月会報米国平均所得推移
   出所:増田悦佐『いま、日本が直視すべき アメリカの巨大な病』

アメリカは極端な格差社会である。しかし、アメリカがはじめから格差社会であったわけではない。アメリカの所得格差は大恐慌から第二次世界大戦にかけて大きく縮小し、戦後はその水準を維持してきた。ところが、80年代以降一変して格差が拡大し、今では大恐慌前の水準までに高まっている。しかも、最近では下から90%を占める人の所得が伸びずに、上から1%の人の所得だけが伸びている。「主要国のCEO報酬の対勤労所得比率」で見ても、日本が50~60倍なのに対し、アメリカは300倍弱と他国を大きく引き離している。その上に、米国には、依然として「世帯所得の人種・民族間ギャップ」が残っている。

2-2 アメリカ経済の実態

ブレトンウッズ体制期までのアメリカは製造業中心の経済であった。それが70年代以降に金融業にシフトして金融大国に変化し、80年代以降、金融業の利益は上昇し続けている。今やコンピューターを除けば、米製造業の生産高は悲惨な状況にある。

 2020年2月会報米国献金企業
   出所:増田悦佐『米中貿易戦争 アメリカの裏の真の狙いは日本』

アメリカで問題になるのがロビイングである。経済学だけで好調なアメリカ経済を説明しようとする人は、アメリカの企業が儲かっているのは、競争し、頑張っているからだと言う。しかし、アメリカ企業がどのように儲けているのかとなると、ロビイングによるところが大きい。ロビイングは賄賂の合法化であり、政治献金を記録することで、企業・業界が政治家に対して自分たちに有利な法律を作ってもらうよう働きかけることが正当化され、結局、特定企業が市場を支配することができるようになっている。企業にとって市場をコントロールしやすい仕組みを作っており、これは良い製品を研究開発によって生み出し、効率的に生産して儲けるのとは違う。

              2020年2月会報米国献金200社
              出所:増田悦佐『米中貿易戦争 アメリカの裏の真の狙いは日本』


一般的に、儲かる市場には新規参入が続き、競争が起こるので、ある特定の企業が突出した利益率を維持するのはできないはずだが、それができているのはロビイング効果と言える。たとえば、銃ロビーの資金力(献金額)は、アンチ銃ロビーのそれを圧倒している。アメリカの銃社会が無くなるとは到底考えられない。GAFAのロビイング支出も年々拡大しており、その影響が今後注目される。

経済理論上は、株価は企業の業績に連動して上下するものだが、最近は企業利益が下がっていても株価が上がるケースが多くある。これは企業が本来の投資を抑え、資金を自社株買いに充てているからで、経済学が想定する状況とは大きく異なり、それで好調な経済と言えるのかは疑問である。

最後に、アメリカのお金持ちは、郊外に高級住宅街を造り、一般社会の人が入れないようにゲートを造って、その中で優雅に暮らしている、という実態も知る必要がある。一般人は社会的に彼らと分断されてしまっているため、彼らがどんな生活をしているのか分からないので問題にもしない。その一方で、底辺の人たちがどんどん貧乏になって、ジャンクフードに頼るようになり、どんどん太って不健康になっている。日本では肥満の問題と貧困の問題をリンクさせて理解するような発想はないが、アメリカ経済の歪みが、貧困と肥満、健康障害という悲惨な形で現われている。


2020年2月会報中国国旗1

3 中国経済

3-1 共産党による一党独裁支配

中国経済は、標準的な経済学の視点で見ようとしても理解はできない。中国が中国共産党による一党独裁支配体制を採っていることを前提として理解する必要がある。国有企業の問題でも、非効率だ、改革すれば良くなる、と言った話もあるが、中国の国有企業は儲けるためにやっているわけではない。それは中国共産党に利権(資金)を流すためのツールで、非効率は許されている。国有企業が無いと党の存在が危うくなる。中国経済の効率化のために国有企業を民営化するということは、共産党にとって自殺行為につながる。

3-2 世界の工場

製造業の世界シェアの推移を見ると、先進国が軒並み右下がりの中で、中国は右上がりに伸ばしている。ところが、iPhoneは中国で生産されているが、iPhone 6 Plusの費用構造から見て誰が儲けているのかとなると、輸入部品コストが211ドル程度に対して、中国の付加価値(賃金)部分は僅かに4.5ドルを生み出しているにすぎない。他は部品を供給するアメリカや日本、台湾などが儲けている。となると「世界の工場」とは何なのか、という問題にもなる。
  2020年2月会報中国資源消費動向
   出所:増田悦佐『米中地獄の道行き 大国主義の悲惨な末路』

中国は人口も経済規模も世界シェアが非常に大きい。だから資源消費量も他を圧倒している。セメントの消費を見ると、中国は2011~13年の3年間でアメリカが20世紀中に使った量よりも多く(66億トン)を消費し、そうして成長を続けてきた。その成長エンジンは輸出と投資である。

3-3 成長エンジン

輸出は、リーマンショック前はかなりやりたい放題できたが、ショック後は世界が萎縮し、アメリカからのクレームもあって、それまでのようには輸出に頼れなくなった。そこで中国は国内の不動産投資や地方インフラ投資を進めたため、中国経済は異常な投資依存型の構造になって、世界の設備投資で、90年代に4~5%だったシェアを2015年には26%にまで伸ばしている。アメリカと中国の、鉄鋼、セメント等の資源生産量とエネルギー消費量を2002年と2012年とで比較すると、中国は何れも数倍に増加させて、横ばいだったアメリカを絶対量でも追い越し、逆転させている。
               2020年2月会報中国セメント使用料
                出所:増田悦佐『米中地獄の道行き 大国主義の悲惨な末路』

ところが、膨大なセメントや鉄鋼などの資材がどこへ行ったのかとなると、中国国民にとっては無駄な投資に浪費されてしまった可能性が高い。たとえば、天津直轄市に47棟のオフィスビルからなる世界最大の金融センターを造るといった中国のマンハッタン構想が打ち上げられたことがあったが、現在は未完成のままゴースト・タウン化し、「ゴースト・マンハッタン」などと揶揄されている。しかし、それはGDPに計上されているのであり、このほかにも至る所に無人の高層マンションが乱立するゴースト・タウンを造って、GDP統計上は、成長した成長した、と言っている。

4 日本の経済はどこへ向かうのか?

4-1 類似する米中経済

米中というと、共産主義と自由主義の対立概念で捉えられるが、米中は双子のような関係で、経済構造、社会構造が結果的に良く似て来ている。富と所得が一部に集中する極端な格差構造、教育による格差の固定化、一部のエリート階層(中国は共産党幹部)への富と権力の集中、そしてメディアの統制など。その点、日本はかなり異質で、多分アメリカの知的エリートたちから見ると、理解できない、気持ちの悪い、経済構造だと見ている。

4-2 異質な日本経済

日本の所得格差は米中に比べて小さい。日本にはエリート階層がないこと、庶民の力が強いこと、問題解決能力を市場が持っていることなどがその理由に上げられ、アメリカとは大きく異なる。バブル経済の克服を見ても、政府が何もしなかったとは言わないが、実際にマーケットが解決している。中国の「爆買い」によって日本経済が成長できたのもマーケットの力、中国の成長に便乗する形で普通の経済に戻れたわけで、90年代に実施された巨額の公共投資とそれに伴う財政政策、ゼロ金利、量的緩和にまで踏み込んだ金融政策、などのマクロ経済政策によるものではなかった。

日本型経済社会システムが常に有効なわけではない。だが、注意しなければいけないのは欧米型経済社会システムの部分的な良いところ取りはできないということ。スウェーデンは医療費が無料で老後の社会保障も充実していると言われる。ならば高い税金を払い、すべての個人情報が国から監視されているような社会になっても良いかという点など、しっかり議論する必要がある。もちろん必要があればシステムを変えることは否定できない。問題は、それを誰が決めるのかである。アメリカの場合は一部のエリートで中国は共産党だが、日本は市場(庶民)で決めることになるだろう。

日本型経済社会システムの最近の動きを見ると、雇用では成果主義、非正規雇用、働き方改革、高度プロフェッショナル制度等がある。これは企業が高齢化に対応した賃金抑制策として進めているもので、日本型雇用を根本的に変えるものではない。これをどう評価するかは皆さん自身の問題になる。

社会保障については、政府がこの問題から手を引こうとしているのが最近の動き。高齢者雇用、一億総活躍にしても、雇用継続による年金支払いの先送りをするもので、高齢者医療の病院から家庭へ、の動きも財政が破綻するから何とか自分たちでやってほしいと言うものである。

少子高齢化で日本はダメになるという話もあるが、個人的にはむしろチャンスだと思っている。経済は人口が減少するだけ縮小するのは当たり前で、むしろ一人ひとりの価値が高まっていく社会になるわけで、個人の所得と生活水準をどれだけ確保していくのかという議論に変えていくべきだと思う。過疎の問題も、人口が減るのであるなら、都市の集積をいかにうまく活用していくかを議論すべきで、少なくなった人口をいかに薄く広く分布させるのかという議論は経済学的に無理がある。

また、資源小国のうえに人口減少(少子高齢化)で大変だと言われる。だが、日本はもともと資源小国だからこれだけエネルギー効率を高めてきた(アメリカとは違う)。エネルギー効率の推移を見ても日本は優れている。この効率をいかに高め続けて行くのかが今後の課題で、その意味ではチャンスだと言える。何でもかんでも日本がダメだということはない。日本経済について標準的な経済学の理屈から局所的にダメな原因に見えるようなところを見つけて出して、それをアメリカンにしていけばすべてが解決すると言った自虐的日本経済悲観論は、実証的な検証に基づいてないと思う。



【Q&A】

Q1:日本経済にAIとかIoT とかはどのように影響するか。
A1: AIは、現時点では理系中心に、あれができる、これもできるといった議論の段階で、頭を使う難しい仕事(弁護士、会計士等)ほどAI化が進み、雇用が奪われると心配されているが、AI導入の経済的な費用については十分な議論が不足している。採算性を考えると技術的に可能な場面でも導入が遅れる場合もあるのではないか。しかし、日本は人口が減るのだから、AIの活用による雇用の喪失は、基本的にチャンスとなると考える。
ITは、特に企業の中で活用されてないと言われているが、日本とアメリカでは働き方が違うので一概に導入すればするほど良いとは言えない。企業がどうするかを考えるべきで、日本の仕組みに合うよう、それぞれが段階的にやっていけば良いのではないか。市場に任せ、企業の判断で決めるようにしておけば良い。

Q2:少子高齢化は生産人口が減る一方で高齢者が増えるのだから、チャンスとは思えない。どう考えるのか。
A2:国力(国の豊かさ)を何で測るのかというと、個人ベースで生涯にわたってどれだけ消費できるかというような点がポイントで、経済の規模で判断するのはずれていると思う。一人ひとりがどれだけハッピーになれるのかを見るのであれば、人口規模はそれほど大きくなくても良いはずだ。
経済の縮小で困るのは国の財政若しくは社会保障で、配分面から約束してきたことができなくなる。しかし、国が困るから子供を増やせ(産め)というのもいかがなものか。子供を産めばそれだけ負担になるが、それを家計に押しつけて税金は納めてくれというのでは、本当に健全な社会と言えるだろうか。これから30年の人口減少は確定しているのだから、それを前提に、どうするのかを皆で考えていくしかないのではないか。

Q3:「重要な都市集積の活用」とあるが、具体的なアイデアがあれば聞かせてほしい。
A3:日本の経済システムではマーケットが決めることだが、特に日本が諸外国と比べて特徴的なのは交通ネットワーク。首都圏、大都市圏のネットワークは過密な所もあるが良くできている。こういうところでは車をAIで自動運転化する必要はなく、個人個人の意志で安全に大量移動できるシステムが整備されている。それを利用して都市圏内部の交通ネットワークを充実させ、各地の特色ある都市集積を形成し活性化していけば良いのではないか。
                                      (文責:横塚紘一)


2020年2月会報受付風景1 2020年2月会報井上先生講聴風景1







◎会員の声①



「メタセコイア(Metasequoia)」
                彌吉 久(やよし ひさし)

2020年2月会報メタスコイアの葉

国分寺市役所の近くに住む私の散歩途中には、いつも気をひかれる高木があります。それは“メタセコイア”。同樹について紹介いたします。恋ヶ窪図書館近くの個人邸宅、広い入口をはさむ生垣に沿って7本が茂り、毎年手入れがなされています。
                           2020年2月会報メタセコイアの木

日本の三木茂博士が1941年にセコイア属から分けて、別属メタセコイアを確立。その後1943年に中国・四川省で発見され、生きた化石植物として騒がれた杉科の落葉高木。米国で育てられた苗木が1949年に日本にも伝えられた。和名アケボノスギとも言われ、高さ30mを超え、円錐形の樹冠をなす。葉は2列に対生し、線形で長さ15~20㎜、葉と側生の小枝は秋にちりぢりに落ちる。なお、同じ杉科のスイショウ(水松)も、一属一種の落葉高木、葉は互生し、球果も異なる。またヌマスギ、別名ラクウショウ(落羽松)も葉が互生する落葉高木である。
(牧野日本植物図鑑、その他より)

同じ図書館のすぐ裏、第9小学校内の敷地にもメタセコイアの高木が2~3本あったが姿を消し、切り株が残っている。少し離れた運動場片隅の1本は他の樹木とともに健在です。
並木町の第5中学校運動場の片側にはメタセコイアが9本並んでいる。運動場を囲む高いネットのため外からはあまり目立たないが・・・。他の小学校でも1~2本見られることがあり、稀に「第〇回生卒業記念」と標示されている。
2020年2月会報小平市立中央公園

小平市立中央公園(西武線鷹の台駅東側)の雨天体育館北側一帯にはメタセコイア約30本が高く生い茂り、手入れが行き届いて、その説明碑もあったが、現在は残念ながら・・・。
井之頭公園には、七井橋を渡った先の文化園一帯にラクウショウ(落羽松)の林が広がり、その中にメタセコイアが5~6本だけ混じっています。
葛飾区の都立・水元公園には「メタセコイア約1,500本の森」があって有名ですが、私はまだ訪ねる機会に恵まれずにいます。
韓国TV“冬のソナタ”のきれいな並木路の宣伝画像はメタセコイアだったと判じているのですが・・・。




◎会員の声②


「さといも さん」
                池田 茂雄(いけだ しげお)
2020年2月会報さといも2

その黒々した土をみると、手の行き届いた畑で育ったのだと思う。水を張ったボールに浸し、しばらく待って、タワシで洗う。細い毛を全身にまとった姿が現れる。

研いだ包丁で皮を切り落としていくと白い肌を見せ、中学の教科書にあるような多面体が出来上がる。ウーン、なかなかいい形になった。塩もみをしながら、たっぷりの水がふつふつと沸とうするのを待つ。そこに、白い<コロコロ>したものを放り込む。と、なべのなかで転がりながらそれらの角は滑らかに、そして肌はいっそう白く、やわかになっていく。手品を見ているようだ。そのさまは、楽しく、感動すら覚える。

話はとんで絵について。西洋画は油で顔料をキャンバスに塗りこむ技法であり、一方日本画は、膠と水で溶いた顔料を和紙に塗る。日本画のなかでも黒田清輝の「美人画」を見たりすると、実によくその技法が生かされていると感じる。透明感のある、あたたかみのある柔らかい肌。<コロコロ>さんをゆでているときと、同じ感覚がわいてくる。
                         2020年2月会報さといも煮

はい、下ゆでがすみました。後はかんたん、いい鰹だし(これ、大切)に砂糖にみりん、そして色よく出すための薄口しょうゆ。20分ほど煮て、さまし、味を含ませます。しばらくすると<さといもの含め煮>の出来上がり・・・。いえいえ、違います。盛り付けを考えましょう。お皿は、やはり白、底に丸みがあり、できれば金の縁があったものがいいでしょう。<コロコロ>さんを横向き縦向きに組合せ、楽しい感じにしましょう。はい出来ました、どうぞ召し上がって下さい・・・。見かけからは想像できない、上品な柔らかさ、微かに海を感ずる出汁、心地よさがからだに広がり、小料理屋で食べるひとしなのように感がしませんか。

トマト、キャベツ、ダイコン・・・八百屋やスーパーに、季節に関係なく一年中並んでいる野菜/根菜類。公園の木々が葉を落とすころ、サトイモが店頭に並びます。<これから冬、正月に向かっていきますよ>と告げているよう。千葉県、茨城県、地元東京の畑から送られてくるようです。一盛り(パック)約500gで300円位が相場ですか。自分は東久留米の農家に買いに行きます。

そこで数年前のあるとき、サトイモの近くに、大きいブロッコリー大の土の塊、そしてビワくらいの小さいものが並んでいた。<このデカイのは何ですか?>、<アア、親芋だよ。小さいのは孫イモね>と。<エッーツ、どういうこと?>。サツマイモやジャガイモのように地下茎(根?)に一個、一個ついて採れるのと違うの? 腰の曲がったお婆さんが長々と話してくれた。要は、親から上に子ができ、子の上に孫ができるらしい、土の中でどんなふうになっているのか想像できない。
2020年2月会報さといもの根

しかし、絵を見ると一目でわかる。デカイ親芋にデキモノができ(子)、それが大きくなると、そこにデキモノ(孫)ができるという次第。じゃあ、親芋の元は何? 答:普段食べているサトイモを土に埋めて貯蔵する。それが翌年の種イモになるらしい。
付けたし:<八つ頭>もサトイモです。親芋がデカくなったもので子イモは小さい。あたまが八つとは限らない。ヌメリが少なくあっさりした味わい。末広がりの八から縁起物としておせち料理に使われる。(それにしても、この異形は?)





2020年(令和2年)学習会スケジュール
2020年2月会報スケジュール表


★スケジュールは事情により変更、中止する場合があります。予めご了承ください。
○学習会場 東京経済大学の教室  4月以降の教室は決定次第お知らせします。
○各学習日とも土曜日 13:30~15:30 (受付開始は12:30より)
○下記の学習会は、当日、前述の通り開始時間が早くなります。ご注意ください。
* 4月11日(土) 柴田 高先生 12:45~14:45 (受付開始12:00~)
5月 9日(土) 菊地史彦先生 12:30~15:30 (受付開始11:45~)



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