欅の木3余白削除70 会員の声②(2019年11月) - 欅友会
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会員の声

会員の声②


「大 山 山 行(だいせんさんこう)」
                                    栗原 文男 



中国地方で一番高い山が大山である。標高1729メートル。大山と書いて「だいせん」と読む。丹沢にも大山があるが、こちらは素直に「おおやま」と読む。社会人になっても「だいせん」と読むのを知らず、ずっと「おおやま」と思い込んでいた。

昭和53年の千倉海岸で、ボランティアサークルの海水浴があり、そこで知り合ったのがFさんだった。Fさんは鳥取県の米子出身で2歳年下。もちろん男性で私と同じ独身。Fさんは、現在「谷根千」で有名になっている谷中銀座商店街の近くの古い木造アパートに住み、国鉄を利用して通勤していた。アパートは4畳半一間に1間幅の押入れ付き。風呂・トイレは共同、半間角の玄関にちょこっとかわいらしい流しが付いており、そこは玄関兼洗面所兼洗濯場兼台所だった。

Fさんとはサークル活動を通して交流を深めたわけだが、お互いに山行に関心があり、わたくしの方が少しだけ早く山を登りはじめ、時々丹沢の表尾根などに登っていたが、何事も正攻法のFさんは知識が大切と当時の台東区主催の登山教室に通い始め、その見識を深めつつあった。そんな関係で数年かけていくつかの山行を二人で行い、そんな山行の折に「だいせん」と読むことを教えられたのだと思う。日帰りが多かったが、昭和55年の9月に後立山連峰を5泊6日(車中1泊含む)で縦走したのが思い出に残っている。

実家の関係で20年ほど前に郷里に帰っていたFさんを、昨年、夫婦で訪問し、足立美術館、松江城、出雲大社などの観光に車で案内してもらった。その折、大山に登りに来ませんかと声を掛けられ、わざわざ中国地方まで物好きなと思ったが、Fさん宅に泊まってと一緒に登るのはどうかと言われ、百名山の一つでもあり、登れば記念にはなるかと思ったものの、その時は返事をしなかった。その気になったのが今年の6月。毎年、夏は眺望と涼しさを求めて高めの山に登っていたので、今年は大山と決めた次第。
2019年11月会報大山1

大山は信仰の山である。昨年の2018年が開山1300年記念ということで、気の遠くなるような昔から修験者が登っていたという。パンフレットから引用すると、「養老2年(718年)、金蓮上人が地蔵菩薩を祀る草庵を結んだことが大山寺の始まりとされ、平安時代には天台宗の寺院が数多く建てられ、室町時代には隆盛を極め、100を超える寺院と3000人以上の僧兵を抱え、比叡山や吉野山、高野山と肩を並べていた。明治に入ってからの廃仏毀釈のより大山寺は衰退。その後、明治36年に大山寺が復興。今日に至っている」とある。大山は伯耆富士とも言われ、米子の方から見ると確かに堂々たる山容で、それでいて包容力のある穏やかな山でもある。地元の人々が大山に誇りを持っているのは肯ける。

前日、新幹線と特急八雲を乗り継いで米子に到着。翌朝、Fさんに車で夏山登山口付近の駐車場まで送ってもらい、そこから二人で歩き始めた。時刻は午前6時20分で天気は薄曇り。他の登山者も多く、列をなして登るという感じ。親子連れ、高齢者、若者たち、男女入り混じった登山者たち。大山は標高の表示が独特で、夏山登山口はすでに標高750メートルぐらいあるのだが、そこが0合目で、そこから1合ずつ標高を上げていく。

膝が痛いので少ししか歩けないと言っていたFさんは、ちょうど1合目の表示の立杭あたりでリタイア。あとからゆっくり登るか、ダメそうだったら駐車場に戻っているので、頂上から降りてきて電話を入れてくれたら迎えに来るという。了解し、こちらはもっぱら単独行が基本なので、マイペースで歩き出す。登山道は丹沢の大倉尾根といった感じ。初めは涼しさを感じながらの山歩きだったが、そこは夏でもあるし標高も高くないので、汗だくとなる。有難かったのは台風10号のおかげで少し風があり、暑さをいくらかでも弱めさせてくれる。
       2019年11月会報大山キャラボク1 2019年11月会報ダイセンオトギリ


8合目を過ぎると、ごつごつとした山道ではなく延々と頂上まで続く木道である。このあたりのダイセンキャラボクを保護するためのもので、おかげで歩きやすいし、そのあたりから目立ち始めたお花畑が心を癒してくれる。その中でもイヨフウロの薄紫やダイセンオトギリの山吹が印象に残っている。8種類ぐらいの花しか判らなかったが、本当は大山には20数種類あると下山後に知った。あいにく目指した頂上付近では山小屋の建て替えと木道の整備のため途中までしか行けず、30坪ぐらいの仮設用の鋼板パネルで出来た休憩スペースは登ってきた大勢の人でいっぱいだった。そう、本日は山の日。道理で親子連れが多いわけだ。展望も今一つであったが、登り切った充実感で満足。

帰路、「県立むきばんだ史跡公園」や建造物は一つもないが米子城天守閣跡などを散策して、皆生温泉へ直行。その後のビールの美味しかったこと。持つべきものは友人であると、Fさんには心から感謝。
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