欅の木3余白削除70 会員の声①(2019年11月) - 欅友会
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会員の声

会員の声①     

「・・・追憶のかなた・・・」
                              小倉 和代


あの まどろみのときは・・

巧みな ハンドル捌きに 心許して
隣りで まどろむ わたしを
ブレーキを踏むたび
左手を伸ばして 庇うしぐさ
2019年11月会報自動車運転1

助手席が 何時もの 指定席
車窓を 流れ飛ぶ景色を
ゆったりと 何気なく
そして 何時しか 無意識に

その時が ずっと続いていたならば
息子に 喘息の持病が無かったならば
坂のある街に 移り住まなかったならば
自ら 運転席に 座ることはなかった
       
            何時も 明け方に近い時刻
            坂の上から 急ぐ病院への道
            往路には 心に寄り添う自転車も
            復路には 力尽き 坂は上れない
                                   2019年11月会報自動車運転2

            若者に混じって 習うノウ・ハウ
            ギアーチェンジ S字カーブ 坂道発進
            わき目も振らぬ 懸命に
            今では 懐かしい 回想の中
   
とっさの判断の 甘さを指摘して
習う事にも 反対をしていた
恐る恐る習った マニュアル テクニック
よくやった と褒めてくれただろうか

役割を終えた今
父親と 同じ指摘をする 娘たち
かくして 足は今 昔と同じ
歯がゆいまでの スローテンポで・・・

谷 川 岳
             墓標に刻まれた 谷川岳の山並み
             中でも 憧れていた トマの耳1     1.手前にある山並みの愛称
             生前 夫の描いた 
             シルエットを そのままに
             黒御影の石に 刻んだ

2019年11月会報谷川連峰1

   空は 飽くまでの青く 深く
   秋晴れの 澄み渡った その青を背に
   いま ここに こうして
   眼前に 聳え立つ 谷川岳連峰

    ずっと この眼で 確かめてみたかった
   トマの耳 オキの耳2             2.その奥にある山並みのこと
   夫の スケッチブックを片手に 
   見比べてみる
                           2019年11月会報天神平ロープウェイ

   天神平から ゴンドラで
   リフトを 乗り継いで 展望台へ
   一望に 見渡せる 緑の山肌までも
   風は 頬に心地よい

             筆あと 鮮やかに
             墓石に描かれた 谷川岳の稜線
             裾野には
             好きだった 水芭蕉を 彫添えた
親にも 家族にも 優しかった 
かつての 山男は
御影石に 刻印された 谷川岳の麓に
今も 眠る 白い花のもとに
 

墓標への思い

もうひと昔も前の事、夫の納骨の日を迎えても、核家族の我が家には墓がない。先祖の墓に入れておいてはどうかという提案はあった。が、自分、息子と続く問題を考えると、回り道は出来ない。夫が先祖となる、独立した墓が必要となる。一時慰霊塔に預けることとして、親戚一人ひとりに了承を得た。

法要の後、住職の「無縁仏と同じ、預かる」の言葉に親戚たちの不満が噴き出す。席をけって帰る後姿に、了承は不承不承であったと知る。  

それから13年、多磨霊園に建墓の運びとなり、ノウハウを学習した。
在り来たり、並の物であってはならない、全力投球で臨んだ。縁の切れた親戚たちを意識しなかったと云えば嘘になる。義兄へだけの知らせをしたためた時の、あの、胸に湧き上がる達成感を、今も忘れない。
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