欅の木3余白削除70 会員の声②(2019年10月」 - 欅友会
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会員の声

◎会員の声②




「大倉喜八郎翁と東経大所感」
                                       鶴野 哲夫

私は友人から誘われ欅友会の学習会受講を始めてから7年になる。幹事の皆様と東経大からの教室や講師の先生方のご協力のお陰で極めて低額の会費で受講に参加でき感謝している。受講日には米寿の私は自宅と教室の往路で大学の長い坂を上り正門を入るとホッとして学内の風景を観察する余裕はない。東経大については明治の財界人大倉喜八郎翁が創設した大倉高商が前身であることだけは知っていた。
2019年10月会報東京経済大学2

昨年暮れに翁が主役の伝記的書籍「怪物商人」を著者江上剛の筆力に惹きつけられ専心通読した。作品は翁の生涯の行動、心理描写、著者の連想などを含め巧みに書かれている。経済小説に分類されると思うが大筋に誤りはないと思っている。私はかねて東経大・欅友会には謝意の気持ちがあり東経大と喜八郎翁の事績を調べようと考えていた。この度投稿の機会を頂いたのでテーマは大倉喜八郎翁を選んだ。この拙文が欅友会会員各位の大倉喜八郎翁の事績研究の端緒になれば幸いである。

参考資料を求めて受講日の午前、図書館を訪ねたが休館。隣の本部事務室は開いており感じのいい若い女子職員(東経大出身)のみ在席。大倉翁や大学構内の見どころなどを親切に説明して貰い地図、資料を頂き大学敷地内を散策する。

最初に注目したのは葵陵会館隣接地の「建学の由来」碑である。平成元年十一月葵友会が建立。碑は綺麗に剪定された低木常緑のツツジなどが配置された奥にあり巨岩と一体のモニュメントを形成している。私は碑文を読み翁に対する敬意の念と人材養成の熱意を感じた。東経大理解のためにも来学者には必見の場所である。碑文は簡潔に大倉喜八郎翁による商業学校設立の趣旨、東経大に至る経緯、翁の偉大な志を偲ぶ卒業生の心情が刻まれている。碑文下記のとおり。キャンパス地図に碑の表示がないのは残念である。 
             2019年10月会報記念碑1
                      
                    「建学の由来」碑 

・大倉喜八郎翁は明治草創の期に貿易業ほか諸事業を興し我が国産業の興隆に貢献した               
・翁はかねてより国際通商に役立つ商業学の振興と人材養成の肝要なるを痛感し明治三十三年還暦を迎えるに当たり澁澤栄一翁を始め石黒忠悳翁渡邉洪基氏らの諸賢に諮って東京赤坂葵町に大倉商業学校を創立した 
・同校は大正八年大倉高等商業学校に昇格しさらに戦後幾多の難局を克服して昭和二十四年東京経済大学となり現状を迎えるに至った 
・われら同窓会結成八十周年を機に創立者大倉翁の先見の明と高壮の志を偲び建学の由来を誌して茲に碑を建立する    
「平成元年十一月
東京経済大学葵友会」                                   
 


次に喜八郎翁の唱えた聞き慣れない「進一層」は東経大の建学の精神として校是になっていることを知った。受講者として言葉の意味を知りたいので確かめることにした。校地南側の旧図書館をリニューアルした「大倉喜八郎 進一層館(Forward Hall)」の白壁は緑樹の中に美しく映えていた。館内には大倉喜八郎のコーナーがあり関係品が展示してある。建物の前には英国風インバネスコート着用の翁の雄姿像が立っている。
                         2019年10月会報新一層館1

像の土台には【校章と葵の葉に囲まれた 大倉喜八郎 建学の精神 進一層】の字句が表示され、像と一体のモニュメントになっている。将来、東経大で学んだ卒業生の瞼に永遠に浮かぶ像となるであろう。館名に“進一層”を取り入れていることは創設者の遺訓ともいえる大学の最重要語になっていると思う。進一層は語呂もよく聴く耳に快く響く。進一層は東経大のキャツチフレーズともいえる。    

言葉の意味を検索したところ【「困難に出会ってもひるまずに、なお一層前に進む」という、現代の「チャレンジ精神」に近い意味である。東経大の前身・大倉商業学校の創立者である大倉喜八郎が使用していた言葉で、東経大の建学の精神となっている。】とあった。なお、「大倉喜八郎かく語りき」(東経大史料委員会編:H28年)には翁が生徒らに「進一層」と「責任と信用」の重さを説いたことを紹介している。私は像は正門付近に朝夕通学する東経大生を見守る位置にあれば最高と思ったが?
なお東経大新聞会発行のTHYME(タイム)2018.p.62に翁の名言があり転載する。

・時は金なり
・油断をするな
・天物を暴殄(ぼうてん=荒らす、滅ぼす)するな
・信用を重んずべし 信用なき人は首なき人と同様なりと知るべし
・何事も魂を込めて誠心誠意をもって働け
・遊ぶも働くも月日は流る。奮闘に興味を持つべし
・楽隠居の考えをやめ 勇気を鼓し 家のため 国のために努力するこそ人間の本分なり
・他人が十時間働くなら 自分は十二時間働け 精神一到何事不成の心持ちをもってすれば 成功必ず疑い
なし

 
永遠に通ずる人生訓として昭和一桁の私には金言である。グローバル化の進む21世紀の現在、政治体制や民意も変化している中で学生の新聞会が掲載されたことに敬意と一種の安心感を覚えた。翁がご現存ならば近年問題になっている勤務時間、女子の登用、利益の企業内留保、正規・非正規の差別、所得格差の階級化、AI対応など経済人としての考えを聞いてみたいものである。
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