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会員の声

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「テレビとの遭遇」

                                    栗原 文男
 

我が家にテレビが来たのは遅い方で、昭和37年の自分が小学校の6年生の時だった。当時、小学校のクラスで家にテレビがあるか否かの調査を年に1回ぐらい先生がやっていて、テレビがないために手があげられない自分が何となく気恥ずかしい思いをしていた。

2018年12月会報テレビ1
テレビが届いた日が自分の夏休みの時期で、家におり、早速我が家での初めてのテレビ視聴となった。民放で森光子が会社の秘書みたいな役で主演している番組があり、初めて見る森光子が普通のおばさんに見えた。午後3時から奥様名画劇場といった洋画の90分番組があり「洪水の前」という映画だった。内容は全く覚えていない。

                                 2018年12月会報逃亡者

心に残っている番組を紹介したい。中学生のころ放送されていたのが「逃亡者」。土曜日の夜8時からの放送で、主人公のリチャード・キンブル(医師)が妻殺しの罪で死刑判決をもらうも逃げることに成功し、犯行の時間帯に自宅から出てきた片腕の男を探し求め全米を旅する。いろいろな街でさまざまなことに出会い、人生の悲哀や人間の醜さやすばらしさが毎回の放送の中身。そんなところに護送中に逃がした汚名を晴らそうと、ジェラード警部がやってきて、主人公は今日も片腕の男を求めて次の町に向かう、というような内容。実は私はこの番組の最終回しか見ていない。

というのも同じ時間帯で放送されていた「アウター・リミッツ」という空想科学番組が好きで、家族が銭湯に行く時間だったので一人で毎回見ていた。しかし世間的には逃亡者の方が人気で、ジェラード警部は実は真犯人で、それでしつこく追いかけているといった見方があったぐらい。「アウター・リミッツ」は地球への異生物の侵入の話やら、ともかく発想が新鮮で毎回面白く見ていた。「逃亡者」は後にハリソン・フォードで映画化。


                         2018年12月会報テレビ番組表
読売新聞 昭和39年5月23日(土曜日)の番組表の一部


同じく中学生の頃の「アンタッチャブル」も面白かった。こどものころから、母親に東映の時代劇をよく見せられたので、活劇物のファンだったことがそのように感じたようだ。主人公のエリオット・ネス役のロバート・スタックという俳優が沈着冷静なリーダーでギャングたちとのやり取りが面白かった。声が日下武史(本年5月逝去。合掌)でかっこいい人だと思っていたが、後年、劇団四季のミュージカルの役者さんと知り、顔も拝見し、だいぶイメージと違うもんだと驚いた。「アンタッチャブル」も後に映画化。

日本のドラマだと「忍びの者」を思い出す。大映が市川雷蔵主演で「忍びの者」をシリーズ化していたが、テレビは品川隆二主演で村山知義の原作に近い形でスタートし、途中から信長への復讐から虐げられた下忍の立場から一人の人間として生きていこうとする石川五右衛門が何か切なくてよかった。シリアスな演技が、「素浪人 月影兵庫」で見せたコメディータッチの<焼津の半次>との差が面白かった。品川隆二という役者はうまい人だと思う。

                                 2018年12月会報素浪人
「忍びの者」は赤旗日曜版に掲載されていたものを、中学校の社会科の西野先生が「忍びの者」が面白いので日曜版だけをとっていると言っていたのでテレビ化されたのを見た次第。のちに理論社という出版社から5巻出版され、大人になってから全部読んでみたが、1巻だけがよくできていてあとは駄作。結婚を機会に所蔵する本を処分した際、全部捨ててしまったことが心残りだった。ところが15年ほど前に、岩波現代文庫から再版された。早速第1巻だけを購入しまた読んでみた。やっぱりよくできた本だと思った。

ニッカウヰスキーが1社で提供していたのが、「判決」という番組で、弁護士たちが主人公で社会的な問題を真正面から取り上げていた。実際に裁判争いをやっていた「朝日訴訟」や「尊属殺人」、「正当防衛」、「人種差別」などのテーマが取り上げられ、中学生ぐらいから高校生にかけて見ていたが、社会の矛盾や制度的な日本の貧しさみたいなものは感じさせられた。視聴率が低迷したとか言われ、継続を望む視聴者の声もあったのだが、数年で打ち切りになったのは残念なことだと思う。政府からにらまれていた番組だったので、スポンサーがおりたいと言ってきたのが原因ではないかと思っている。                   

2018年12月会報記念樹
木下恵介劇場として放送されていた「記念樹」という番組もよかった。
テーマソングが印象的だったが、その後ネットで聞くことができ、詩とメロディーがあまりあっておらず、意外だった。冒頭のタイトルや出演者の名前の紹介の映像で、終戦後、養護施設に進駐軍の兵隊さんが桜の苗木を子供たちと植樹する場面があり、物語はそれから20年ほどたったところから始まるというもので、馬渕晴子が担当の先生(保育士)で、毎回、施設出身者というハンディーを背負わされたさまざまな青年たちの生きにくさや、親子関係などがテーマで印象に残っている。田村正和もそんな青年役で出演していた。

とりとめもなく書いてきたが、早く家に帰ってテレビを見たいという気を起させるドラマが今は皆無であるのは残念だ。健康番組や池上彰さんのいろいろな解説番組も見ていると勉強になるが、あのわくわく感は沸いてこない。しかし、本当は良い番組もあるのだが、自分が馬鹿な大人になって感性が鈍くなってきているのかもしれないと自嘲気味に思う昨今である。    
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