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会員の声

◎会員の声   


あ な ホール 騒 動 記 !!
<ヒット&ペイ(成功報酬払い)による温泉掘削>                                   彌(や) 吉(よし)  久 


1.出 会 い! 
 
 第3のお勤め(出光・海外石炭開発)6年間がそろそろ終ろうとしている頃、「温泉ボーリングの地質関係の仕事を手伝え」との話がもたらされた。しかし「非火山地帯での温泉掘削」の話、「そんなところで温泉とは?」と・・。しかし私には三池炭鉱の勤務時代(8年間)に、主要坑道掘削時の「岩盤からの出水」と取り組んで苦闘した経験があった。そこで困難は承知のうえで、1994~99年の間、日本各地での温泉掘削約100本に関係することとなった。

                                 2月会報温泉2

2.総スカンク?

 温泉掘削の成功が次々と続いて、業界内ではパニックを起し、“ヒット&ペイ方式”ではリスクの大きさもあり・・・要するに“総スカン”をくったらしい。ある会社では同じ方式で競争しようと若手社員たちが燃え上ったが、社内上層部からの認可が得られなかったと聞く。他方では“これぞ新時代の方式だ”との声も聞かれたが、直接には影響を受けない外野席からのものだった。       
富山平野のある現場では、同業者が数km離れた地点で従来方式にて掘削中、TVの取材で「そんな
短期間では絶対に掘れない」と明言した。その映像に続けて、こちらでは湧出したお湯をドラム缶に注ぎ、裸の2~3人が歓声をあげている状況を勝手に放映されてしまった。 

3.恵みのお湯はどこから?

 お湯の起源は“降水”である。地表からの「降水が岩盤の隙間を通って浸透したもの」である。“降量”
の約16%が“深部の湯量”になるとの研究(別府温泉の例)もあり、採取できる湯量は各地域によって限度がある。しかし“利用の仕方(適正湯量)”により、半永久的に枯渇しない“貴重な資源”なのである。なお、“お湯の年齢”は一般には“10~15年前”のものと推定されている(湯の中のトリチウムによる)。        

 地下への浸透水を温める“熱源”は地球内部からの“伝導熱”である。地表から深部へと進むと100m
ごとに平均3℃高くなる(地下増温率)。火山地帯では熱源が浅くて増温率は高いので、掘削は浅くて済む。しかし火山に直接関係の薄い地域では地下増温率は低いので、深くまで掘ることになる。何れにしても深くさえ掘れば熱はある。しかし、その熱で「暖める水があるか否か」がKeyとなってくる。 

4.命の水(裂罅水)(レッカすい)! 

 地下に包蔵される水《地下水》は「地層水」と「裂カ水」(割れ目水)とに2分される。「地層水」は
未固結の砂や砂礫などの帯水層中に含まれる地下水であり、「裂カ水」は固結した岩盤中の亀裂や断層帯などに貯留する地下水である。地質時代に生成した堆積岩や火成岩などの岩盤・岩体では、裂カ(割れ目)や断層が存在するため、その中に入り込んだ水は流動したり滞留したりする。しかしその流動は局所的であり、裂カの大小や存在位置によって流速や動水勾配が不規則に変化し、断続的な地下水位面となっている。私どもがねらった温泉のお湯は「深部の裂カ水」である。

5.あなほーる (掘 削)!   

 ドリリング・リグ(掘削機)は石油掘削の“リグ”を小型化したもので、トラック積載の移動式を米
国からレンタルした。掘削は“トリコーンビット”による破砕方式、“ベントナイト泥水”を使用し“コ
アー(錐芯)”は採取しない。 
掘削が予定深度(例えば1,300~1,800m)に達したところで、孔内の“物理検層”を行う。岩盤孔壁の亀裂や空隙の多い部分を探索し、温水の涵養部を判別してこの部分の泥壁を壊し、“揚湯テスト”へと移ってゆく。このテスト結果により、孔内ポンプの設置その他の仕上げ工事へと移ってゆく。    

6.下  火?  

 ジタバタを繰返しているうちに、ブーム?は次第に下火となっていった。 
 最後に代表的な成功例を紹介する。静岡県大井川沿いの“川根茶”で知られる本川根町の温泉である。
四万十帯の地層を掘削し、ガスを伴ったお湯の自噴が続いている。ここでは大井川上流方面への旅行者であろうか?通り掛りの客が多い。また夕刻になると、地元の一家・数人が野良着のまま、着替えの包みを抱えマイカーでやってくる。汗を流してサッパリとし、帰宅・夕食・TVで、自宅の風呂よりはるかに安くつく・・・というわけで、大いに繁盛している。『山峡いの風光明媚な温泉地』というわけではないが、高齢化社会の福祉に貢献する情景のひとつであろう。

《なお、1986年スタートの「ふるさと創生1億円事業」による温泉掘削は当初の3年間で 215団
体の成功(93%)となっている。》 
 2月会報温泉3
                       
 因みに、東京都内の温泉利用施設数は216ヶ所 (区部77、多摩地域97、島しょ部42) あり、
 銭湯や健康ランドなどの公衆浴場、旅館、足湯施設などで利用されている。(平成20年度末 東
 京都福祉保健局)(源泉数は約140本と推定される)                  
                                                          以 上                                     



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