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会員の声(2016年)

◎会員の声 
 

大倉喜八郎・ライト・ジョンソン
                                   岡安 隆


 2012年3月に村上教授の退任記念講演を聴講しました。演題は「大倉喜八郎と現代日本」。大倉喜八郎(1837年~1928年)は帝国ホテルの社長で、新館をフランク・ロイド・ライト(1867年~1959年)に設計を依頼したとのお話がありました。
私の勤めていたジョンソン社はアメリカに本社があり本社ビルと研究所タワーはライトが設計しました。ライトは自然と調和したプレイリー・スタイル(日本の数寄屋建築に近い建物)という建築様式を創造した建築家ときいておりました。
大倉喜八郎とライトとのかかわり、ジョンソンとライトとのかかわりに、興味を持っておりましたので、調べてみました。ライトは「この建物(帝国ホテル)は周囲の環境、つまり目の前の公園(皇居)の向こうに見えるお堀と調和すること、そこには尊敬すべき伝統というものが存在しており、できる限り伝統に沿った建物を建築するのが私の名誉であり、義務であると感じた。」と述べている。
1月会報会員の声1
1月会報会員の声2

新館は耐震性に重きを置いた建築であり、西洋式の建築の良さに東洋的な美を取り入れた。外装に大谷石を使った。栃木県下の採石場から形、色などを指定したものを彫って送らせた。それを吟味して気に入らなければ送り返し、再度作らせた。工期は延び、工事費は予算オーバーの連続であったが大倉はライトを信頼してまかせた。自身は増資に借り入れにと奔走した。開業披露パーティは9月1日。準備万端ととのって招待客を迎えるばかりになっていたところ、午前11時58分に地震が発生。(関東大震災)。帝国ホテルはガラス1枚割れなかった。周辺の建物で被害を免れたのは数えるほどであった。→城山三郎「野性のひとびと」から引用。
 初代のジョンソンは、寄木細工を販売していた材木商であったが、床材、家具、調度品の材質のつやを出すワックスを製造販売して業績を伸ばした。

3代目のH・Fジョンソンが1936年に工場と事務所が手狭になったので、事務所を帝国ホテルの新館を設計したフランク・ロイド・ライトに依頼した。ライトは工場街に作るのではなく、緑の多い郊外にと提案をした。「敷地、建物、インテリア、家具、植栽などの様々な要素が一体となってこそ快適な空間を創造できると考えて設計をした。工事費は当時のジョンソンにとっては多大な負担となった。反対する重役を説得し1939年に完成した。環境と調和した快適なオフィスはそこで働く人々にとってどれだけ重要かを実証して見せた。特にグレート・ワーク・ルームは大きな屋根の下に社員全員が集まることで日本の家族のような機能を果たし、会社で働く全員が仲間としての意識を持つことに大きく貢献し、会社を活性化させた。研究所タワーは1950年に完成。ジョンソン社のシンボルとなった。大倉もジョンソンも、「信用したら、まかせた」ところは共通しております。大倉91才、ライト92才二人とも天寿を全うした。

2代目H・Fジョンソン・シニアが1927年(昭和2年)のクリスマス・イブに「利益分配金の支給日」に社員に向けてのスピーチ「ユーザー(消費者)、サプライヤー、社会、そして社員から信頼され、支持されているから現在のジョンソン社が存在している」。最後に「企業を存続させるものは人々の信頼と支持でありその他は影に過ぎない」でクロージング。このスピーチが次世代の経営者に受継がれている。私は日本ジョンソンで永年、販売部門で、製品を使ったお客様が満足していただけたか、お客様のニーズにあっていたか、使い勝手はよかったのかと自問自答しながら働いてきました。大倉は「責任を果たし信用を得ること、そのことが相手から信頼を勝ち取ることになる」と学生に話している。「大倉もジョンソンも、信頼されることが大切であるといっている」。村上先生の講演を聴講して現役の頃を思い出し、頭も、体もリフレッシュされました。
1月会報会員の声3

 (R&Dタワー 地球儀の奥が事務棟)

                    1月会報会員の声4
                               (デスクとチェア)

昨年皇居、乾通りが4月と12月に一般開放され、4月の桜、12月は紅葉,松、銀杏と四季折々の風景の一端を見ました。つくられた自然ではなく、自然そのままでもなく、多少手を加えられている。見物客でごった返して、ゆっくりと観ることはできませんでした。家康没後400年の今、帝国ホテルの正面から見た公園の向こうのお堀の風景以外はライトがみた風景とは全く違う。しかしお堀は扇の要の位置にあり、存在感がありました。

欅友会は、2012年3月にゼミの神尾先輩から、勧められて入会しました。長谷川先生の映画鑑賞「大丈夫」、「炎のランナー」、宮本英世氏の「クラッシク音楽を楽しもう」はお堅い講義の中で一服の清涼剤であった。毎回の講義で脳が活性化されております。
(写真は1991年1月にセゾン美術館で開催された「フランク・ロイド回顧展」のパンフレットから。) 



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